いろいろな「賃金」

最低賃金

最低賃金とは、労働基準法上の労働契約における賃金の最低基準であり、最低賃金法によって「使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない」とされています。

最低賃金額以上であるかどうかの確認方法

時間給制の場合

時間給 ≧ 最低賃金額(時間額)

日給制の場合

日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)

ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、
日給 ≧ 最低賃金額(日額)

月給制の場合

月給 ÷ 1か月の平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)

最低賃金の対象となる賃金

実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。

  1. 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  2. 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  3. 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外労働の割増賃金など)
  4. 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日労働の割増賃金など)
  5. 午後10年から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜労働の割増賃金など)
  6. 精皆勤手当、通勤手当、家族手当

平均賃金

平均賃金とは、原則として事由の発生した日以前3か月間に、その労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(就労日数ではなく暦日数)で除した金額です。ただし、賃金が時間額や日額、出来高給で決められており労働日数が少ない場合など、総額を労働日数で除した額の6割に当たる額の方が高い場合はその額(最低保障額)を適用します(労働基準法第12条第1項)。

賃金の総額とは、締切がある場合締切日ごとに、通勤手当、皆勤手当、時間外手当など諸手当を含み税金や社会保険料などを控除する前の賃金です。

平均賃金は、次の場合に使用されます。

  1. 労働者を解雇する場合の予告に代わる解雇予告手当・・・「平均賃金」の30日分以上(労働基準法第20条)
  2. 使用者の都合により休業させる場合に支払う休業手当・・・1日につき「平均賃金」の6割以上(労働基準法第26条)
  3. 年次有給休暇を取得した日について「平均賃金」で支払うものとした場合の賃金(労働基準法第39条)
  4. 労働者が業務上負傷し、若しくは疾病にかかり、又は死亡した場合の災害補償等(労災保険給付の額の基礎として用いられる給付基礎日額も原則として「平均賃金」に相当する額とされています」。)(労働基準法第76~第82条)
  5. 減給制裁の制限額・・・1回の額は「平均賃金」の半額まで(労働基準法第91条)
  6. じん肺管理区分により地方労働局長が作業転換の勧奨又は指示を行う際の転換手当・・・「平均賃金」の30日分又は60日分(じん肺法第22条)

割増賃金

労働基準法第37条第1項では「使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金支払わなければならない。(略)」とされています。

そして、労働基準法第37条第1項の時間外及び休日の割増賃金に係る最低限度を定める政令により「労働基準法第37条第1項の政令で定める率は、同法第33条又は第36条第1項の規定により延長した労働時間の労働については2割5分とし、これらの規定により労働させた休日の労働については3割5分とする。」とされています。

割増賃金の定義については、昭和23年3月17基発第461号で「(割増賃金の意味)法第37条が割増賃金の支払を定めているのは当然に通常の労働時間に対する賃金を支払うべきことを前提とするものであるから、月給又は日給の場合であっても、時間外労働についてその労働時間に対する通常の賃金を支払わなければならないことはいうまでもない。」とされています。したがいまして、「割増賃金」とは、「通常の賃金×0.25」ではなく「通常の賃金×1.25」のことをいいます。

計算方法は、こちら を参照してください。

雇用保険法上の賃金

雇用保険法上の賃金とは、賃金、給料、手当、賞与、その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うすべてのものをいいます。

すなわち、

  1. 「事業主が労働者に支払ったもの」であること
  2. 「労働の対償として支払われたもの」であること

の二つの要件を備えているものをいいます。

(1)事業主を通じないで従業員が得るもの、例えば、従業員がお客様等から直接受け取ったチップ等は「事業主が労働者に支払ったもの」にならず、賃金とはなりません。

(2)「労働の対償として支払われたもの」とは、

  1. 実費弁償的なものでないこと
  2. 任意的、恩恵的なものでないこと ・・・・・ 労働協約、就業規則、給与規定、労働契約等によるほか、事業所の確立した慣習等によりその支給が事業主に義務づけられているものをいいます。

離職証明書等に記載できる賃金

上記「雇用保険法上の賃金」から、次の 1. と 2. の賃金を除いたものが「離職証明書等に記載できる賃金」となります。すなわち、毎月の定期給与として支払われる賃金が対象となります。

    1. 「臨時に支払われる賃金」  支給理由の性格が臨時的であるもの、及び支給理由の発生が臨時的であるもの、すなわち支給されることがまれであるか、あるいは不確実であるものをいいます。
    2. 「3か月を超える期間ごとに支払われる賃金」 毎月決まって支払われる賃金以外のもの、すなわち毎月の定期給与以外の賃金のうち、年間を通じての支給回数が3回以下の場合が該当します。したがって、労働協約、就業規則等により年間を通じて4回以上支給されている場合は、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金に該当しません。

労働保険料の算定となる賃金

上記「雇用保険法上の賃金」がすべて対象になります。

社会保険(健康保険・厚生年金保険)における報酬

社会保険における報酬とは、標準報酬月額の対象となる報酬のことで、賃金、給料、俸給、手当、賞与などの名称を問わず、労働者が労働の対償として受ける全てのものを含みます。また、金銭(通貨)に限らず、通勤定期券、食事、住宅など現物で支給されるものも報酬に含まれます。ただし、臨時に受けるものや、年3回以下支給の賞与(年3回以下支給されるものは標準賞与額の対象となります。)などは、報酬に含みません。